循環器疾患

【心不全】心不全を簡単に説明します

心不全とは

心不全の定義

「心不全とは、心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気です。」
ー日本循環器学会・日本心不全学会

2016 年 12 月 16 日に、「脳卒中と循環器病克服 5 カ年計画」を策定しました。 我が国の循環器疾患の死亡数は、癌に次いで第 2 位となっており、心不全による5年生存率は 50%と予後についても決して良くありません。

しかし、その事実と心不全の怖さ(例えば、完治しない等)については、国民にあまり知られていないのが現状です。そのため、心不全について、国民によりわかりやすく理解して貰うため、2017年「心不全の定義」を日本循環器学会と日本心不全学会が連携し、新たに作成しました。

心不全の症状

簡単に「心臓ポンプ機能低下による症状」と「うっ血症状」に分けて説明します。


うっ血とは臓器組織内の静脈や毛細血管内の血流が停滞し増加した状態といいます。
ポンプ機能低下:全身倦怠感や疲れやすいさ、四肢冷感、血圧低下、尿量減少うっ血:息切れ(呼吸苦)、下肢浮腫、食欲不振、体重増加

心不全の原因

心不全の原因として心臓に起因するものとそれ以外で分けて説明します。
心臓に起因するものは以下のような疾患が挙げられます。
虚血性心疾患:心臓を養っている血管の病気(心筋梗塞、狭心症など)
不整脈:脈がゆっくり打つ(徐脈)、速く打つ(頻脈)、または不規則に打つ疾患(心房細動、房室ブロックなど)
弁膜症:心臓の中にある血液の逆流を防ぐ「弁」に障害が起きることで、血液の流れが悪くなる病気(大動脈弁狭窄症、三尖弁逆流症など)
心筋症:心臓の筋肉自体の病気(肥大型心筋症、拡張型心筋症)
先天性心疾患:生まれつきの心臓病(心室中隔欠損、Ebstein奇形など)

心臓以外に原因があるもの


肺血栓塞栓症(PE),深部静脈血栓症(DVT)
慢性閉塞性肺疾患(COPD)肺機能が低下する病気)
糖尿病,甲状腺機能亢進症などの代謝性疾患
貧血
敗血症
薬剤性(抗癌剤)
放射線治療
高血圧などがあります。

心不全の治療

心不全に対して薬物療法、非薬物療法(手術、デバイス、リハビリ)を行って行きます。

急性心不全の治療として、まず利尿剤や血管拡張薬を使用して血行動体の正常化を目指します。
重症の場合、強心剤や機械サポート(IABP、PCPS、Impella)を併用することもあります。
血行動態安定を目指しながら、それぞれの原因疾患に対してそれぞれ適した治療を行います。

慢性心不全の場合、心不全入院や心血管イベントを予防するために適正な薬物治療を継続します。
また、心臓病は生活習慣病と深く関係しているため、心不全増悪を予防するためには生活習慣の是正が必要です。心臓リハビリや生活指導(運動、食事、減塩、禁煙)が重要とされています。

 

心不全発症、増悪を予防するには日常生活からの介入が重要です。
当院の心不全診療は最良な薬物療法を保証した上、生活指導、心臓リハビリなどの非薬物療法も重要視しています。