在宅診療

人生会議 ーより良く生きるためにー

ACP 人生会議 はじめしょう

【人生会議 ーより良く生きるためにー】
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人生会議(ACP)とは

ACP(Advance Care Planning)は、将来的に自分の意思を伝えることが難しくなった際の医療や生活の選択に関する事前の準備や計画のことを指します。日本でいう「人生会議」とは、自らの末期医療や生活環境、重要な価値観や信念についての選択を家族や医療者、関わるすべての人々と共有する過程のことを言います。

実際に「人生会議」行った方の声

 認知症祖母の意向に基づき、家族は自宅での穏やかな最期を実現

認知症の祖母と軽症のうちにACPを行ったAさん
認知症の祖母と軽症のうちにACPを行ったAさん
私の祖母は非常に元気で社交的な方でした。しかし、認知症の進行によって少しずつ食事量が減り、医師から胃瘻について相談がありました。

この時、家族は以前に祖母と人生会議(ACP)を行っていたことを思い出しました。祖母は、もし自分が意思表示ができなくなった場合、積極的な治療は望まないという意向を家族に伝えていました。また、できるだけ自宅で過ごすことを望んでいました。

病状が進んでいく中で、家族は祖母の意向に沿った判断をすることができました。胃瘻などの人口栄養を行わず、在宅医療を受けることにしました。祖母は家族に囲まれながら、最期の時間を自宅で過ごすことができました。

家族全員は祖母の意志を尊重し、その意志に基づいて決断を下すことができたことに安堵しました。もしACPをしていなければ、祖母の本当の望みを知らずに、異なる選択をしていたかもしれません。

この経験を通じて、家族全員はACPの重要性を深く理解しました。家族が一致団結して、祖母の望む最期を実現できたことは私にとっても満足した経験となりましたし、他の家族もACPを通じて祖母の人生に寄り添うことができたと感謝しています。

 人生会議を通じて父の意志を尊重し、尊厳ある最期を実現

がんと診断された父と人生会議を行ったBさん
がんと診断された父と人生会議を行ったBさん
父は当時元気にしていたが、肺がんを患っていることもあって、この先の健康状態に不安を感じていました。テレビで「人生会議」のことを知り、機会を作って父さんと「人生会議」について話し合う機会を持ちました。

父がどのような医療を受けたいのか、また、どのような状況で生活を送りたいのかを丁寧に聞きました。父は病気が進行した場合でも積極的な治療よりも自分の尊厳を守ることを優先したいと話しました。また、自然に囲まれた環境で穏やかに過ごしたいという願いも明らかになりました。

数ヶ月後、父の病状が急速に悪化しましたが、人生会議(ACP)を通して私たちは父の意向を正確に理解していたため、すぐに行動を起こすことができました。主治医の理解と協力が得られ、積極的な医療措置を取らず、自宅でのケアを選択しました。

最終的に、父は自宅の庭で孫たちと過ごしながら、静かに人生の最期を迎えました。人生会議(ACP)により、彼の望む生活と尊厳を守ることができたのです。

人生会議の経験は、私たち家族にとって非常に大切な思い出となりました。私たちは父の願いを尊重し、それに基づいたケアをうけられたことに感謝しています。この経験から私たちは人生会議(ACP)の大切さを改めて認識しました。今は他の家族や友人にもその重要性を伝えるようにしています。

 妻との人生会議、穏やかな最期を迎えた物語

心不全の妻と人生会議を行ったCさん
心不全の妻と人生会議を行ったCさん
私の妻、美智子さん(仮名)は、弁膜症による慢性心不全を抱えながらも、幸い治療によって症状安定していたため日々の生活を楽しんでいました。医師からの提案があり、人生会議について話し合うことにしました。美智子さんは、万が一の状況に備えて、特定の医療処置については受けたくないという明確な意向を持っていました。特に、侵襲性の高い手術や人工呼吸器の使用は避けたいと考えていました。

ある日、美智子さんは急に体調を崩し、緊急手術が必要と医師に言われました。しかし、彼女の年齢と体力を考慮すると、手術の成功確率は低いことがわかりました。この状況で、私と医療チームは妻と事前に話し合っていた「人生会議」に基づき手術を選ばないという決断をしました。

幸い、治療によって妻の心不全は一時的に改善しましたが、最終的には心不全が増悪し、数ヶ月間家族と共に穏やかな時間を過ごした後、亡くなりました。妻は自分の意思を尊重してくれた家族と医療スタッフに深い感謝を表していました。美智子は手術を受けなかったことに対する後悔は全くなく、自分の意向で選択ができたことに安心を感じていました。

この経験を通じて、私は人生会議の重要性を痛感しました。人生会議によって、妻の意志が尊重され、彼女が望むような生活の最終段階を迎えることができたのです。他の家族も妻の意向に沿った決断ができたことを大変誇りに思っています。

なぜ人生会議?

<自己意思の再確認>

自身の考えの明確化
人生会議を通して自身の意向や希望、価値観を深く探求し、それを他者に伝えるプロセスを経ることで、自らの考えや意志が明確化されます。

自分らしい医療選択の実現
明確な意志のもとで医療の選択ができるため、自分らしい生き方や死に方を追求することができます。

<家族や関わる人々との関係をより深く>

 相互理解の促進
家族や医療者とのコミュニケーションを通じて、互いの考えや意向を共有し、深い理解を得ることができます。

 対立の回避
意向や希望を明確に共有しておくことで、将来的な家族間や医療者との意思決定の際の対立や意見の衝突を最小限に抑えることができます。

<より質の高い医療とケアの受けるため>

 適切な医療選択のサポート
自身の意向を明確にしておくことで、医療者はその意向に基づいた適切な医療の提供ができます。

 安心感の提供
自分の意向や希望が医療者やケア提供者によって理解されていることを実感することで、治療やケアを受ける過程での安心感が得られます。

<未来の不確実性に備えるために>

 これからの予期せぬ状況を対応
突然の病気や事故など、将来の不確実性に対して、あらかじめ意向や希望を明確にしておくことで、迅速かつ適切な対応が可能となります。

 後悔の回避
自分の意向に基づいた医療選択が行われることで、後悔や疑問を最小限に抑えることができます。

医師
医師
人生会議は、自己の意思を尊重し、家族や医療者との関係を深化させるだけでなく、質の高い医療やケアを受けるための重要なステップとなります。それにより、未来の不確実性にもしっかりと備えることができるのです。^^。

人生会議(ACP)を簡単に始めるための工夫と方法

<意識の変革>

 自分らしい生活の実現
人生会議は、自分らしい生活を実現するための手段であるとの認識を持つことが重要です。自分の価値観や意向に基づいて、医療や生活の選択を行うための準備と考えることで積極的に取り組む意欲が湧きます。

 日常の一部として
「人生会議」を特別なものと考えるのではなく、日常生活の中で自然に行うものと位置付けることで、取り組むハードルが下がります。

<小さな一歩から>

 トピックの分割
ACP全体を考えると圧倒されることもあるため、小さなトピックやテーマごとに分割し、一つ一つ取り組む方法が効果的です。例えば「胃瘻はどんな治療?」、「人工呼吸器の合併症」、「自分の病気が進んだらどうなる?」などです。

 短い時間から
毎日10分や15分の短時間を設定し、その時間を人生会議に関する考えや情報収集に充てるという方法も有効です。

<専門家の協力>

 カウンセラーや相談員の利用
ケアマネジャーや地域包括センターの相談員との相談を通じて、自分自身の考えを整理したり、不安や疑問を解消することができます。

 医療者との対話
主治医や担当の医療者との対話を通じて、自身の健康状態や今後の医療選択についての理解を深めることができます。

情報の収集

 専門家のセミナーや講演
ACPに関するセミナーや講演を聴講し、基本的な知識や考え方を学びます。

 ブックレットやワークシートの活用
これらの資料を利用して、自分自身の考えや意向を整理することができます。下記に厚生労働省のページの資料を引用しています。よかったら参考にしてください

医師
医師
ACPを簡単に始めるためには、自らの意識や認識の変革、適切な情報の収集、段階的な取り組み、そして専門家のサポートが重要となります。これらの方法を取り入れることでより効果的に人生会議を進めることができるでしょう^^。
参考資料

リーフレット PDF
人生会議(ACP)普及・啓発リーフレット[842KB]
人生会議学習サイト
ゼロからはじめる人生会議「もしものとき」について話し合おう
※人生会議学習サイトでは、人生会議を行う上でのポイントをお示しするとともに、実際に人生会議で話し合っていただきたい内容例についてまとめられるようになっています。
自治体等における普及啓発事例 PDF
自治体等における普及啓発事例[20.7MB]
(本事例集では、自治体等において実践されてきた普及啓発の取組について、普及啓発方法のカテゴリ(リーフレット・パンフレット、マンガ、記録シート、映像、条例・方針)に分けてピックアップし、10事例を紹介しています)

声かけてみましょう

大切な人に「人生会議(Advance Care Planning、ACP)」の話をする際は、繊細かつ尊重のあるアプローチが必要です。以下のようなステップを踏むと良いかもしれません。

適切なタイミングを選ぶ
家族が集まる時間や、リラックスできる場面を選ぶことが大切です。急がず、落ち着いた環境で話を切り出すことが重要です。下記の資料やリーフレットを利用して話題作るのもひつとの方法です。
前向きな切り口で話を始める
「これからの人生を大切に考えたい」というように、大切な人の人生や考え方、生活スタイルを尊重する姿勢から話を始めると良いでしょう。
話の目的を明確にする
「人生会議」の目的は、将来の医療やケアに関する親御さんの意向を理解し、尊重することにあると説明します。不安を取り除くためにも、このプロセスがどのように役立つかを説明することが大切です。
意見を尊重する
相手が話を聞くことに抵抗を感じている場合は、強く迫らず、一旦話題を変えるなど、柔軟な対応が求められます。
具体的な例を挙げる
他の家族や知人が人生会議を行った例を挙げて、その有効性を示すと理解しやすいかもしれません。(実際に人生会議を行った方の声)
専門家の意見を取り入れる
必要であれば、医療の専門家やケアマネージャーなどを交えて、話を進めることも一つの方法です。
医師
医師
こうしたアプローチを通じて、コミュニケーションを円滑にし、ACPについての話を進められるようにすることが大切です。
^^。
参考資料

リーフレット PDF
人生会議(ACP)普及・啓発リーフレット[842KB]
人生会議学習サイト
ゼロからはじめる人生会議「もしものとき」について話し合おう
※人生会議学習サイトでは、人生会議を行う上でのポイントをお示しするとともに、実際に人生会議で話し合っていただきたい内容例についてまとめられるようになっています。
自治体等における普及啓発事例 PDF
自治体等における普及啓発事例[20.7MB]
(本事例集では、自治体等において実践されてきた普及啓発の取組について、普及啓発方法のカテゴリ(リーフレット・パンフレット、マンガ、記録シート、映像、条例・方針)に分けてピックアップし、10事例を紹介しています)

ACPのプロセス:継続的な評価とその重要性

ACPのプロセス:継続的な評価とその重要性

人生会議(ACP:Advance Care Planning:アドバンス・ケア・プランニング)は、一度行えば終わりというものではありません。人生の変化や環境の変動、健康状態の変動に合わせて、継続的に行われる活動です。以下は、このプロセスの主なステップとなります。

自身の認識と情報収集:

現在の健康や生活に関する状況を理解し、これからの選択肢や可能性に関する情報を収集し、理解しておくようにしましょう。

意思の共有:

家族や信頼できる友人、医療者、ケア提供者との間で、自分の価値観や希望、懸念についての会話をしましょう。この共有の過程で自分の考えや希望が明確になり、支援の形が具体的になってきます。

再評価:

人生の変動や健康状態の変化に応じて、自分の意向や決定を再度評価します。状況の変化や考えに合わせて、信頼できる人との共有を行います。
この継続的なプロセスを通じて、常に現状に合わせた適切な意思決定が行えます。

継続的評価の重要性:

人は常に変化する存在です。健康、家族の状況、価値観、生活環境など、様々な要因が変動します。ACPの継続的な評価と共有を通じて、変化する状況に合わせて適切な意思決定を行うようになるでしょう。

医師
医師
継続的な評価と共有を行うことで、自己の意向や考えが明確になり、家族や医療者、信頼できる友人とのコミュニケーションも円滑に進めることができます。
人それぞれの状況やニーズに応じて、この先のケアプランが継続的に見直され、最適なケアや治療方針が導かれることに繋がります。^^。
参考資料

リーフレット PDF
人生会議(ACP)普及・啓発リーフレット[842KB]
人生会議学習サイト
ゼロからはじめる人生会議「もしものとき」について話し合おう
※人生会議学習サイトでは、人生会議を行う上でのポイントをお示しするとともに、実際に人生会議で話し合っていただきたい内容例についてまとめられるようになっています。
自治体等における普及啓発事例 PDF
自治体等における普及啓発事例[20.7MB]
(本事例集では、自治体等において実践されてきた普及啓発の取組について、普及啓発方法のカテゴリ(リーフレット・パンフレット、マンガ、記録シート、映像、条例・方針)に分けてピックアップし、10事例を紹介しています)

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